『FALL/フォール』は、2023年に日本で劇場公開されたアメリカ映画。
高いところからの恐怖を味わえるスリラー映画かと思いきや、伏線の多さやストーリー性の高さから、配信でも人気です。
この記事では、映画『FALL/フォール』のあらすじやキャストの紹介のほか、ネタバレで考察をおこないます。
以下は映画『FALL/フォール』の内容に関するネタバレを一部含みます。
映画未鑑賞の方はご注意ください。
【ネタバレ考察なし】映画『FALL/フォール』のあらすじ
主人公ベッキーは、夫ダン・親友ハンターと一緒にフリークライミング中、ダンを落下事故で失ってしまいます。
その後ベッキーは、ダンを失った悲しみから1年間引きこもりの生活。
父親は「お前が悲しむほど価値のある男ではない」とダンのことを批判しつつ、愛する娘のことが心配そう。
夫を失い、父親ともギクシャクして一人で塞ぎ込んでいたベッキーのもとに、当時のクライミング仲間ハンターが訪れます。
ハンターはこの1年の間に、危険な登頂を行なうYoutuber”デンジャーD”として活躍していました。
ベッキーに立ちはだかる心の壁を乗り越えさせるため、ハンターは老朽化したテレビ電波塔への登頂にベッキーを誘い、一緒に登ることに。
いざ頂上に着き、恐怖を乗り越えられたかと思いきや、地上から続くハシゴが倒壊し、二人は降りられなくなってしまいます。
食料無し!スマホの電波無し!助けを求める術無し!
地上610mに取り残された二人の葛藤と、そこから繰り広げられる人間模様に注目です。
映画『FALL/フォール』の鉄塔は実在する?
撮影の裏側!すごすぎる!!
映画『FALL/フォール』に登場する鉄塔は、実在しません。
ただしカリフォルニアにある実在の建造物、サクラメント・ジョイント・ベンチャー・タワーをモデルにしています。
サクラメント・ジョイント・ベンチャー・タワーは625mの高さを誇る、カリフォルニアで最も高い建造物です。
高さ634mの東京スカイツリーの頂上に取り残されたと思うと、恐怖でしかない…!
撮影もリアルにこだわり、600mの崖の上に頭頂部から30m分の塔を建てることで、600mを超えるスリリングな映像演出に成功しました。
またベッキー役とハンター役の二人が、実際にスタントを演じているのも、リアルな恐怖が視聴者に伝わるポイントです。
【ネタバレ考察なし】映画『FALL/フォール』のキャスト
映画『FALL/フォール』のキャストは、以下のとおりです。
登場人物 | キャスト | キャストの主な出演作 |
---|---|---|
ベッキー 夫の死で心を閉ざした主人公 | グレイス・キャロライン・カリー | 『シャザム!』シリーズ |
ハンター デンジャーDとして危険なクライムを繰り返す | ヴァージニア・ガードナー | 『マーベル ランナウェイズ』 『ハロウィン』 |
ダン ベッキーの夫 | メイソン・グッディング | |
ジェームズ ベッキーの父 | ジェフリー・ディーン・モーガン | 『グレイズ・アナトミー』 『ウォーキング・デッド』 |
映画に登場するのは、ほぼベッキーとハンターのみ!
ベッキーの夫と父は登場シーンが少ないながらも、ストーリー性を高める良いスパイスになっています。
映画『FALL/フォール』の制作陣は『海底47m』のスタッフ
映画『FALL/フォール』の制作陣は、以前『海底47m』というパニックスリラー映画を制作しています。
サメが泳ぐ海底に残されたらどうする…?
『FALL/フォール』がお好きな方は、『海底47m』もぜひご覧ください。
以下は映画『FALL/フォール』の内容に関するネタバレを含みます。
映画を鑑賞してからお読みください。
映画『FALL/フォール』のネタバレ考察:乗り越える壁があったのはハンター
映画『FALL/フォール』を観て、ダンの「生きることを恐れるな」という言葉が、本作のテーマであるように感じました。
「生きることを恐れるな」という言葉は、ベッキーが鉄塔への登頂を決めた朝、ダンが何て言ったかうろ覚えだったハンターに伝えるシーンで登場します。
このシーンで、二人の恐怖に対する行動に違いがあることが分かります。
恐怖に立ち向かっていたベッキー
ベッキーは大切な人を失った悲しみから、お酒で現実逃避を図ります。
しかし死ぬことは怖いようです。
自宅で薬を飲んで自ら命を絶とうとしたときも、薬を持つ手が震えていました。
またハンターが命を落とした際も、死を受け入れられず、幻想を作り上げていました。
ベッキーは生きていることが辛いながらも、死ぬことも怖い状態。
生死に対して、真正面から立ち向かっていたと考察できます。
ダンの「生きることを恐れるな」の言葉が効いている…!
恐怖を麻痺させて克服したと見せかけたハンター
一方ハンターは大切な人を失った悲しみから、バズることで現実逃避を図ります。
また死ぬことも怖くないようです。
一旦YoutuberのデンジャーDになれば、恐怖を感じず危険な登頂にチャレンジできます。
本人は「恐怖を乗り越えた」と言っていたけど、麻痺させているだけな気がする…
大きなパッドを入れて胸を強調し、派手なアクションでバズることで快感を得ていたハンター。
しかしベッキーの前では生きることの尊さ・はかなさを話すなど、ハンターとデンジャーDの間には2面性があります。
ここからハンターは恐怖を乗り越えておらず、デンジャーDとして生き、スリルを生きる糧にすることで恐怖を麻痺させていたと考察できます。
ダンの「生きることを恐れるな」という言葉もうろ覚えで、「生きたきゃ死ぬな」になってたもんね…
実は乗り越えるべき壁があったのはハンター
このことから、死への恐怖に真正面から立ち向かっていたベッキーよりも、死への恐怖を作り出すことで生きていることを実感していたハンターのほうが、乗り越えるべき壁があったと考察できます。
ハンターには、ベッキーへの後ろめたさもあります。
親友の夫と不倫していること。
それを隠していること。
だけど親友も変わらず大切に思っていること。
ハンターが乗り越えなければいけなかった壁は、親友へ隠し事をし続けている罪悪感だったのかもしれないですね。
映画『FALL/フォール』のネタバレ考察:まとめ
映画『FALL/フォール』はシリーズ化が決定し、続編の撮影が2024年6月から開始しています。
ただの恐怖体験映画ではありません。
張り巡らされた伏線と、ワンシチュエーション映画でありながら深い人間模様が描かれた脚本を、ぜひお楽しみください。