藤本タツキ著の漫画『ルックバック』が劇場アニメ化され、藤野と京本の友情に感動した方も多いと思います。
しかし予想外の展開に「意味がわからない」と感じた方もいるのでは…?
この記事では、劇場アニメ『ルックバック』のラストの展開について、ネタバレありで考察いたします。
以下は『ルックバック』のネタバレを含みます。
映画を鑑賞してからお読みください。
【ネタバレ考察】意味がわからない?『ルックバック』がオマージュした映画とは
映画『ルックバック』は、ハリウッド映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』をオマージュしているといわれています。
原作漫画の最終コマに、ワンハリのDVDジャケットが描かれているのも話題になりました。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のあらすじを知れば、『ルックバック』がなぜパラレルワールドのような展開になったか理解できます。
以下は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のネタバレを含みます。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の簡単なあらすじ
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、シャロン・テート殺人事件という史実をもとにした映画です。
シャロン・テート殺人事件とは
シャロン・テートは、1960年代に活躍したハリウッドの人気女優。
映画で共演した監督との間に赤ちゃんを授かり、公私ともに順風満帆な生活を送っていました。
しかし自宅でカルト集団に襲われ、お腹の赤ちゃんと一緒に刺殺されてしまいます。
有名女優が残忍な手口で殺害されたことは、アメリカ中を震撼させました。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ではどう描かれた?
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』では、西部劇のスター俳優リックと彼のスタントマンのクリフが、カルト集団をボッコボコにやっつけシャロンを助けます。
監督のクエンティン・タランティーノは、バイオレンス表現が強烈なのが特徴です。
”シャロンの家の隣に、アクション俳優とそのスタントマンが住んでいたら…”
あり得たかもしれないけれど、あり得なかった想像の世界。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、タイトルどおり”ハリウッドのおとぎ話”なのです。
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『ルックバック』の意味がわからない?後半の展開をネタバレ考察
『ルックバック』で描かれた藤野と京本が出会わなかった世界は、藤野が想像したおとぎ話だと考察できます。
その理由は、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』との共通点があるからです。
- 実際に起きた事件を解決し、被害者が生まれない世界を生み出した
- 被害者を助けたあと、救急車で運ばれていく描写が一緒
『ルックバック』で起きた事件は、京都アニメーションの事件を彷彿とさせます。
才能溢れるクリエイターたちが、犯人の身勝手な理由で未来を絶たれてしまった…
残忍な事件に、”もしもの世界”を願わずにはいられません。
『ルックバック』ネタバレ考察:4コマ漫画「背中を見て」の作者は誰?
『ルックバック』の終盤、京本の家で藤野が読んだ4コマ漫画「背中を見て」は、作者に京本の名前が入っています。しかしこの漫画は、実際は藤野が作ったものだと考えられます。
4コマ漫画は4つの場面だけで読者に情報を伝え、感情に変化を起こさなければなりません。
藤野は京本の部屋の前で、小学生で京本と出会わず、空手を極めて犯人をやっつける”もしもの未来”に思いを馳せていました。
あの飛び蹴りから救急車で運ばれるまでの流れを想像していれば、漫画の題材とオチを探すことは容易でしょう。
また「背中を見て」と、小学校の卒業式の日に藤野が京本の家で描いた4コマ漫画は、最後は死ぬというオチが似ているのも、藤野が描いたと考察できるポイントです。
京本だったらブラックユーモアな漫画は作らなそう…
『ルックバック』ネタバレ考察:藤野が漫画を描き続ける理由は?
藤野が漫画を描く理由は、京本の笑顔が見たいから。
藤野は「背中を見て」の4コマ漫画をきっかけに京本の部屋に入り、いかに自分が応援されていたかを知ります。
本棚に並ぶ自分の漫画、読者アンケートのハガキ、何より初めて書いたはんてんへのサイン…
藤野は「背中を見て」の言葉どおり、背中に書いたサインを見て京本が喜ぶ顔を思い出し、また机に向かうようになります。
つまり藤野の想像力は、藤野自身を救ったのです。
『ルックバック』の作者藤本タツキは、自身が美大に進学する直前に東日本大震災が起こり、クリエイターは悲劇を物理的に解決できない点に無力さを感じたそうです。
たしかに漫画やアニメは、ご飯のように生活必需品ではありません。
しかし想像から生まれるストーリーは人々を楽しませ、暮らしに彩りを与えるパワーがあります。
悲しい現実も物語として落とし込めば、藤野のように気持ちが救われる人もいるのです。
参照:藤本タツキ『ルックバック』は、なぜクリエイターに衝撃を与えたのか
『ルックバック』意味がわからない?まとめ:考察に正解はない
\努力の証がわかるスケッチブックの描写も最高/
今回私はパラレルワールドは藤野の想像で、「背中を見て」の作者も藤野だと考察しました。
しかしパラレルワールドが存在し、京本が「背中を見て」を描き、藤野に送ったと考察することもできます。
この考察に正解はありません。
正解がないからこそ想像力が働き、自分にとって良い解釈が生まれるのです。
エンドロールが流れるなかで、漫画を描き続ける藤野の背中。
背景には朝から夜まで流れる時間が描かれています。
繊細で柔らかい一日の描写に、背景を描いていた京本が、藤野のそばに寄り添っている気がしました。