映画『国宝』において、主人公喜久雄を演じる吉沢亮の圧巻の演技力に、言葉を失うほど感動した方も多いと思います。
あの印象的なラストシーンは、何を意味しているのでしょうか。
この記事では、映画『国宝』のラストシーンについて、ネタバレありで考察いたします。
以下は映画『国宝』のネタバレを含みます。
映画を鑑賞してからお読みください。
映画『国宝』ネタバレ考察:喜久雄が最後に見た景色は本当にきれいなのか
映画『国宝』のラストシーンで、喜久雄が見た紙吹雪。
あの紙吹雪は、無念の死を遂げた父の上に降り積もる雪景色と重なって見えます。
父の仇を討てなかった過去に対し、渡辺謙演じる半二郎は、「芸で見返せ」と言い残します。
国宝となった喜久雄の目の前には、割れんばかりの拍手ときらびやかな紙吹雪。
そして喜久雄が歌舞伎役者の頂点に立ちたいと願う理由は、父の死に対する見返し。
映画冒頭の雪景色と重なるだけに、喜久雄はやはり自分に流れる血にとらわれていたのだと考察できます。
しかもこの舞台上の景色、よく見ると紙吹雪と一緒にホコリも舞い上がり、スポットライトを浴びてキラキラしています。
最後に「きれいやな」と呟いた喜久雄の視線の先には、ただ美しいだけでなく、自分が犠牲にしたものや傷つけた人々の姿を表現しているように感じました。
映画『国宝』の終盤で喜久雄の人生を順風満帆と言ってしまう違和感
映画の終盤、人間国宝となった喜久雄は、インタビュアーから「順風満帆の人生」と言われてしまいます。
今までの半生を観てきた視聴者は、喜久雄が生半可な気持ちで生きていないことを知っています。
しかしそれを知らない人たちは、若くして人間国宝にまで上り詰めたことしか見ていません。
人間はつい、きらびやかな世界にいる人に対し、「さぞ幸せに暮らしているんだろう」と勝手に判断してしまいます。
しかし悩みがない人はいないし、人には人の苦しみがあることを表現しているように感じました。
映画『国宝』の喜久雄と万菊の姿は、晩年のスティーブ・ジョブズと重なる
映画『国宝』の喜久雄と万菊の姿は、Appleを創設し成功を収めたスティーブ・ジョブズの姿に重なります。
スティーブ・ジョブズは生前、以下のような言葉を残しました。
私は、ビジネスの世界で、成功の頂点に君臨した。
サンカイビより引用
他の人の目には、私の人生は 成功の典型的な縮図に見えるだろう。
しかし、仕事をのぞくと喜びが少ない人生だった。
人生の終わりには、富など、 私が積み上げてきた人生の単なる事実でしかない。
病気でベッドに寝ていると、 人生が走馬灯のように思い出される。
私がずっとプライドを持っていたこと、認証や富は、迫る死を目の前にして色あせていき、 何も意味をなさなくなっている。
この言葉は、人生の終盤をきれいなものが何もない部屋で過ごしていた万菊の姿と重なります。
田中泯演じる万菊は、鷺娘を演じて少年時代の喜久雄に衝撃を与えました。
万菊もきっと歌舞伎にすべてを捧げてきた人物。
そのような彼が人生のクライマックスを悟ったとき、スティーブ・ジョブズと同じように空虚な気持ちを感じたのかもしれません。
一方で喜久雄も万菊と同じく鷺娘を演じますが、以下の2点から、彼は舞台上で命を落としていると考察できます。
- 閉じたはずの幕が再び開いているから
- 客席に誰もいないから
最期まで歌舞伎役者として演じきり、仕事以外のことをまったく考えずにあの世に行った喜久雄は、その達成感から「きれいやな」という言葉を残したのかもしれません。
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映画『国宝』ネタバレ考察まとめ:喜久雄の人生はハッピーエンドなのか
映画『国宝』を観て、死生観まで考えるとは思いませんでした。
ビジネス界のトップであるスティーブ・ジョブズも有無同然を感じてたかと思うと、どんな人生を送っても悩みは尽きないということを思い知らせれます。
映画『国宝』の喜久雄は、ある意味ハッピーエンドなのかもしれません。
でも本当にその生き方は幸せなのか…、答えのない問いに深く考えさせられました。
映画『国宝』について考察は、noteでさらに深堀りしています。
ぜひこちらも遊びにきてください!
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